先日、耐震診断の為の予備調査に伺いました。
図面は残っておらず、建築年もご依頼主様の記憶だけで
はっきりとしない状態でした。(実際に建てられたお父様はすでにご逝去)
しかし、役所に問い合わせたら確認申請の記録があり、
完了検査を受けていたこともわかりました。
建築年は平成5年。
建築基準法は昭和56年6月に改正されて『新耐震基準』が生まれましたが、
阪神淡路大震災を経て平成12年6月に現行法へとさらに改正されています。
つまり、昭和56年6月~平成12年6月の間に建てられた建物は、
『新耐震基準』が現行法に変わるまでの基準で建てられたということです。
今、この狭間の建物が問題になっています。
今年の1月にもNHKのニュースで取り上げられていました。
『新耐震基準でも85%の木造住宅が倒壊の危険性』
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の調査の結果です。
(2014年12月発表)
実際に阪神淡路大震災の際にも、新耐震基準を満たした木造住宅でも
全壊した家屋が出ているそうです。
新耐震基準では、
『震度5弱でほとんど損傷しない、震度6強以上の地震で倒壊しない住宅』と
するための必要最低条件が定められています。
しかし、昭和56年6月~平成12年6月に建てられた建物では、
現行法で改正された下記の2点が満たされていない可能性があり、
地震の揺れに弱い建物であるかもしれないのです。
①全体の壁量をバランス良く配置する
②筋交いの端部や柱と土台・梁との接合部が
地震時に外れないように金物を設置する
さて、このたびの耐震診断は、
リフォームに伴い間取りの変更も行うとのことで、
安心を得るためにとご相談を受けました。
幸い、現地調査の時点では外観上の大きな劣化はみつかりませんでした。
しかし壁内部の状態(筋交いなど)は、はがしてみなければわかりません。
(はがしてもわからない部分もありますが…)
今回のご依頼主様の場合は、リフォームに合わせて耐震診断を行い、
全体のバランスを整え、接合部の必要な部分に適切な金物を設置することで、
耐震性を現行レベルまで高めることが可能となります。
平成3年~7年頃着工の木造在来工法(2階建て以下)の住宅では、
柱の接合部の仕様が『釘止め程度』の割合が57.6%です。
(木耐協2015年2月発表)
耐震診断・改修に対して行政からの工事費の補助がある場合でも、
『新耐震基準』で建てられ住宅はほとんど対象外となる上、
築20年程度の住宅の耐震に疑問をもつ人は、多くはないでしょう。
でも、実際は安全でない場合も多いのです。
さて、3月10日に『省エネ住宅ポイント』の受付も始まりました。
平成12年以前に建てられた住宅でのリフォームをお考えならば、
この機会にぜひ耐震診断を受けることをお勧めします。
エコリフォームのポイントに加え、耐震改修にもポイントが付きます。